• 2025.2.19
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厳寒から生まれる良質の和紙、上川崎で紙漉きピーク

 千年以上の歴史を誇る二本松市の上川崎和紙。厳しい寒さの中、紙漉き作業は最盛期を迎えています。上川崎和紙安斎紙工房では4代目・安斎保幸さんが二本松藩の定型とされる60×90㎝の和紙を1枚1枚丁寧に漉いています。「寒さが締まった良質の和紙を作ってくれる」のだそうです。

厳寒期にピークを迎えた上川崎和紙の紙漉き作業

 上川崎和紙の起源は、平安中期に冷泉天皇の時代に始められたと伝えられ、「みちのく紙」と称され、紫式部や清少納言たちに愛された「まゆみがみ」はここで漉かれたといわれています。現在は同工房と二本松市和紙伝承館が伝統を守っています。

 和紙は、刈り取った楮(こうぞ)を釜で蒸して熱いうちに皮をむき、皮部分の黒皮(外皮)をはいで、白皮(内皮)だけを材料にします。その後、余分なチリを取り除いて煮たあと、打解・乾燥の工程を経て、ようやく和紙の原料になります。楮とつなぎとなるトロロアオイから出る粘液を混ぜ、簀桁とよばれる木の枠で漉き上げます。安斎さんは「寒いからこそ条件が整う。あとは経験のみ」と日々、和紙と向き合っています。

かくはんして楮とつなぎの調合具合を確認する安斎さん
1枚1枚漉いた和紙。重ねて水分を取ったあと、乾燥させる

 和紙は要望に合わせて模様を入れたり、クルミ染めにしたり多用に対応。高級地酒のラベルにもなっています。手漉き作業は3月半ばまで続く予定。

 和紙伝承館では、はがき、色紙、各種カード、うちわ漉きなどが体験できます。問い合わせは同館(電話0243-61-3200)へ。

和紙伝承館の楮畑で行われた刈り取り(昨年12月)
刈り取った楮は蒸して熱いうちに皮をはぎ、さらに内皮をそぐ(和紙伝承館・昨年12月)
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