• 2024.11.15
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菊人形で役目を終えた菊花を釉薬に…井上窯が商品化

 二本松の菊人形会場を彩った菊花を、伝統工芸の二本松萬古焼(井上窯・井上善夫当主)に再活用する取り組みが昨年から進められ、ようやく商品化の第1弾が誕生しました。

菊花の釉薬を内側に使った2種類の器

 菊花を約半年かけて自然乾燥させたのち、焼却して灰を採取、何度も濾して焼き物のうわぐすり(釉薬)にするもので、ぐい吞みと、冷酒や焼酎、ウイスキーなどに使える万能カップの2種類の内側に菊花の釉薬を施しました。青味がかった黄色は菊の大輪を想像させる色合いで、飲むほどに器の中の色調が楽しめる趣向。

 菊花の釉薬開発は、にほんまつDMOの企画で、昨年11月に二本松菊花愛好会(伊東勝夫会長)の協力で伊東会長ら3人の愛好者から軽トラック計3台分を同DMOが収集、井上窯が釉薬づくりに着手しました。釉薬用に残った灰はバケツの底からたった数センチ程度。成分分析で安全性を確認後、調合や焼き温度などのデータを繰り返し集めて商品化にこぎつきました。井上窯で近く発売する予定。

 井上当主は「菊人形で役目を終えたとはいえ捨てるにはもったいない資源。菊のまち二本松を代表する産品に育てたい」と開発に意欲を見せています。昨年は菊花の量を確保するため、大菊や小菊、ざる菊を使用しましたが、今年は大菊だけで釉薬を作る準備を進めています。

釉薬用に集めた菊花と井上当主(23年11月22日)
ベランダで自然乾燥させている様子(23年12月)
乾燥させた菊花を焼却して灰を採取(24年4月10日)
灰を何度も濾して釉薬に使えるのはごくわずか(24年4月)
黄色に青味がかった色合いは光で微妙に見え方が変わる
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